思えば、子供の頃は心配性だった。色々な失敗をしては、バレたらどうしよう、と心配して眠れなかった。
私は溶けていないそのままのチーズが苦手で、給食に出てきたチーズを食べることができないでいると、隣の窓側の席友達が、「じゃあこうすれば!」と言って、突然チーズを窓の外の校庭にぶん投げてしまった。
それは先生にすぐにバレた。なぜなら、その教室の真下が職員室で、学校は古い木造2階建てだったので、私のクラスの人がチーズを窓から捨てたことは明白なのだった。
「やった人は正直に言いなさい」
シーンとした教室の中で、先生がそう言ったが、誰も名乗り出ることはない。隣の友達も黙っているし、私も黙って下を向いていた。(今思えばたぶんバレていたのだと思う)
結局それ以上追求されなかったが、その後もしばらくの間、私はいつバレて叱られるかとビクビクし、家の仏様に「ばれませんように。そのためならなんでも頑張ります」とお願いしたりした。
1番覚えているのはそのエピソードだが、他にも覚えていないくらいたくさん、色々なことを心配していたように思う。
若い頃にたまたま読んだ何かの雑誌で、ブラッドピットがインタビューでこんなのことを言っていた。
「正直に生きた方が、より安らかに眠れるから」
ブラッドピットも、正直でなかったために眠れなかった経験があるんだなーと思った。
大人になって、私も安らかな心でいるために、正直であることを心掛けている。
仕事で失敗したら、自分からすぐに申告したほうが、解決も早く、「今後気をつけてね」くらいで終わったりする。そもそも自分が失敗と思ったことが、そんなに大したことではないことが判明して安心するということも多い。
それに、ちゃんと申告をすることで、逆に信頼できると思ってもらえることもある。私なら、そういう部下のほうが信頼できる。
そんなこんなで、大人になりなんとかやっていたのだが、40代になり、また心配性が発症している。
ズバリ健康不安である。
健康診断の結果が少しずつ標準の外側に近づいていき、さらには標準からはみ出しつつある。若い頃は全く気にせず、好きなものを食べ、タバコも吸っていたことが本当に悔やまれる。
ここ数年は、甘い飲み物は飲まない、お菓子も減らし、白米も茶碗三分の一、水分をたくさん取るなど、気をつけている。全ては健康のため。というより、もはや健康診断の結果で不安になることを防ぐために、日々頑張っている。
私はもともと心配性だが、心配したいわけではないのだ。
それなら心配しなければいいのに、と思うが、まだまだ自分の心のコントロールができるわけでもないのでどうしようもない。
心配しないで過ごすためにどうするか。
それが心配だ。
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